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10th PROJECT:01.企画会議

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blueoverは2021年4月17日、10周年を迎えます。投票企画「開発室への招待」に次ぐ新たな10周年記念アイテムをつくるべく、デザイナーの渡利とスタッフの江川で企画会議を開きました。
テーマは、「blueoverが10年で得た経験や繋がりをいかして、ファンの皆さんのために靴をつくること」。
このコンテンツでは、記念アイテムの開発を追いかけて行きます。

「02.仕様を決める」へ

「03.革と、底材」へ

「04.「サンプル」の完成」へ

人物紹介

渡利(ワタリ)
blueoverの発起人であり、デザイナー。たまの趣味は木彫り。

江川(エガワ)
blueover / structのスタッフ。冬の間、編み物にはまった。


2021年、今年いよいよblueoverは10周年を迎えます!

スタートしたのが2011年4月17日だから、今年の4月で10年かぁ。
なんか、あっという間だね

投票イベントだけじゃなく、何か特別なことをしたいですよね

そうだねぇ、どんなのがいいかな? 何かするなら、ブランド10年で得た経験や繋がりをいかしたいな

ですね。私がお店にいて感じる、お客さんの実際の要望なんかにこたえる物作りはどうでしょうか?

そうだね。支え続けてくれている人たちあってのブランドだからね。ぜひやろう

うーん…具体的にお客様からよく出るご要望でいうと、マイキーのソール交換でしょうか。
店頭だったり、メールだったりでよくお声をいただきます

たしかに、その要望はよく聞くね。この価格帯の靴だとソール交換の要望があるのはうなずけるんだけど…

オフィシャルとしては、マイキーのソール交換はオススメしていないですよね

うん。マルコやルンマーなんかのマッケイ製法のモデルは交換できるけど、マイキーで用いてるセメンテッド製法は縫い付けじゃなく、はりつけだからね

▲一般的なスニーカーや、革靴にも用いられるセメンテッド製法。
接着しているので水濡れにも強いが、ソール交換には向かない。

交換するときにアッパーとソールをくっつけている接着剤をべりっと剥がしたら、破損して履けなくなってしまう可能性があるっていう…。だからオススメできないんですよね

剥がれたあとが残って、もう一度はりあわせても仕上がりが汚くなってしまったりするからね。そしたらグラインダーでやすったりするけど、更にアッパーにダメージが蓄積されてしまう。
それでもよければお客様の責任で。と前置きしての交換になってるよね

そうですね…。
ちょっと話しはそれますが、交換する際のデメリットがあるのにマイキーをセメンテッドにしてる理由ってどこにあるんですか?

理由で言えば、スニーカー”らしさ”の部分かな。あとは軽いのもあるし

確かに、マイキーが軽いというのはわたしも感じますし、お客さんにもよくそう言っていただきますね

やっぱりスニーカーブランドとして出発したとき、”らしさ”の要素として加工底の張り合わせははずせなかったんですよ

ふむ。出発点はスニーカーですもんね

それからアウトソールのつま先の巻き上げ。ソールの先端を薄くして、アッパーのつま先部にはりあわせる。これも一つの”らしさ”だね。
ちなみにこの巻き上げは段差のつまずきによってソールが剥がれるのを防ぐ役割もあるんですよ。
って。昔スポーツメーカーの開発の人がいってた(笑)

▲つま先の巻き上げ

なるほど、あのつま先にはそんな意味があったのか。
だから色んなスニーカーであのつま先の形状がベーシックに採用されているんですね

とは言え、古いコルテッツなんかは巻き上げてないものもある。
つま先の巻き上げは、スニーカー作りの歴史の中で画一されてきたものだろうね

はへ~、マイキーがなんでセメンテッド製法なのかは納得できました。
でも今回は、せっかくなのでソール交換できるマイキーというのを実現してみたいです

セメンテッド製法でつくるかぎり、現状の問題点であるアッパーに蓄積されるダメージとソール交換の際に剥がしたときの破損の関係は解決されないからなぁ

接着ではなく、縫い付ける製法のマッケイやグッドイヤーウェルテッドだと、どうでしょうか?
マイキーをマッケイでつくった新しいモデルを定番に加えたら良いんじゃないかな、とわたしはこっそり思っているのですが…

▲blueoverではマルコに採用しているマッケイ製法。
マルコはアイナカとアッパーを縫い付けているので、アウトソール交換の際にアッパーに負担がかかりません。

▲グッドイヤーウェルト製法。詳しく言うと、フォルスで用いているのは九分仕立てハンドソーンと言ってグッドイヤーウェルト製法の一部を職人が手作業で行っているもの。
マッケイ製法と同じくソールを縫い付けて装着している。本格的な紳士靴に用いられることが多い。

交換時の破損リスクは改善されるけど、靴にしたときの佇まいが変わってしまうのよ

なるほど…。
でも10周年のモデルとして作るのなら、ソール交換できるということを前提に、特別感がほしいです

それなら、お客様、加工底、タンナー、製靴工場…他にもいろんなところに協力してもらって10年。靴づくりを続けてきた集大成として、「みんなのマイキー」ってのをつくってみましょうか

それはいいですね!

でも、さっき佇まいの話しをしたけど、やっぱりマルコやフォルスのソールをマイキーに使うと「マイキーらしさ」から離れていってしまう。
例えば、マイキーに単にマルコのソールを使ってマッケイ製法にしても、マルコとほぼ同じになっちゃう

たしかに。マルコはベースにマイキーがありますし、雰囲気はビジネスっぽい。フォルスはワークっぽい感じ。
一方マイキーはやっぱりスニーカーとしての側面が強いです

▲奥からマイキー、マルコ、フォルス

そのあたりを加味して、マイキーの10周年モデルは「ソール交換できること」と「マイキーらしさ」も兼ね備えたい

おぼろげながら、テーマが決まってきましたね

まだ話しだけではなかなか見えてこない部分も多いから、一度サンプルをつくらないといけない

サンプルはどんな革でつくりますか?
マイキーでいうと、ベロアが定番ですが

▲ベロアレザー

話しながらどんな素材がいいのか考えてたんですが、ベロアに近い質感のヌバックは?

ヌバックでいうと、20AWのマイキーオールブラックもヌバックでしたし、過去のマイキーでもスポットで採用してきましたね

▲20AWのマイキーオールブラック、ショーティオールブラック

他に候補としては…ちょっと特別感のある革とかね。

というと、前回のフォルスのオーダー会で登場したホーウィン社クロムエクセルなんかでしょうか?

そうですね。クロムエクセルは様々な革靴ブランドが使っている有名なレザーですが、やっぱり雰囲気があっていい。
通常、価格面なんかでなかなか使えないですが、オーダー会では使いたい素材

クロムエクセルは、あまりレザーに造詣が深くないわたしでも見た目、触り心地ともに違いを感じました

▲オーダー仕様のPHOLUS。アッパーはクロムエクセルのブラック

そういう意味では、他にもアノネイやデュプイもいいんじゃないかな

デュプイというと、以前structで開催した竜崇縫靴店さんのオーダー会でも登場しましたね

▲竜崇縫靴店とblueoverのコラボモデル。ライニングがデュプイ。

前回、竜崇縫靴店さんとコラボしたモデルはおよそ10万円でしたが…

たしかに、グッドイヤーにデュプイを組み合わせて靴にしたら、相当な金額になってしまうので、値段も考慮したい

値段は重要なポイントですね。
うーん、そういう意味で言うと、blueoverが老舗タンナー山陽さんと作ったオイルレザーも捨てがたいですし、マルコで使っている防水レザーもいいですね

▲オーダー仕様のPHOLUS。アッパーはオイルレザーのブラウン

▲オーダー仕様のPHOLUS。アッパーは防水レザーブラック

オイルレザーも防水レザーも、少しずつ改良を重ねて作った革。
blueoverのオリジナルレザーだし、山陽さんの協力にも本当感謝してる

開発段階でけっこうもめてましたもんね(笑)

そうそう(笑) 今でもあーだこーだ、担当者さんに迷惑かけてるし。
そういう意味では、10周年モデルに相応しいかも。
ただ、防水レザーはカチッとしてるというか改まった雰囲気になるから、マイキーに合うかはちょっと疑問ではあるかな

そうですね

思えば10年間、blueoverは常にいろいろな工場さんやタンナーさんに助けてもらってきた

だからこそレザーの選択肢が多いわけですね。その分、今回革をどれにするかはしっかり選ばないといけないですね

マイキーのアッパーパターンと相性のいい革仕上げってのもあるからね。その点を考慮して考えてみます

あとは…アッパーのデザインについては?

それは、あえて変えない方が良いんじゃないかな

つなぎ目の無いアッパーデザインは、マイキーの一番の特徴ですしね

基本はそのままで、仕様を特別なものに変えていこう

まだまだ企画段階ですが、方向性が見えてきました。
まとめとしては、10周年を象徴する特別なアイテムはblueoverの顔と言っても良いモデル「マイキー」を、10年間の繋がりで得た技術を使って特別な仕様で作り上げる。ということですね

そうですね。
方向性が見えたので、次はサンプル作りに向けて動きはじめます

ファーストサンプルまでが一番ドキドキします…! 楽しみになってきました。
このコンテンツでは、10周年モデルの完成まで追いかけたいと思います。


次回、サンプルに向けて細かい仕様を検討していきます。
10周年の特別なマイキー、完成までの過程をリアルタイムで感じることができるこの連載。2回目もどうぞお楽しみに!

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「03.革と、底材」へ

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