【イベント】ニットブランドyatoポップアップ
秋晴れのさわやかな日が続いております。
文化の日の11月3日(金)から5日(日)までの3日間、ニットブランド〈yato(ヤト)〉のポップアップを開催いたします。
(写真:山根晋)
ニットブランドyato
〈yato〉のデザイナーをつとめる渋谷渉氏は、「日本の繊維工場を次の世代につなげたい」という想いから、10年以上にわたり、ニット業界の裏方として活動してきました。
ウルグアイの羊毛牧場や国内の紡績工場、染色工場、撚糸工場、ニット工場で職人と共に働きながら技術を学び、工場独自のモノづくりを蓄積してきました。
以前は、日本製品の販路を拡大するために、ヨーロッパやアメリカのデザイナーに提案し、日本のモノづくりに対する評価に手ごたえを感じていました。
しかし、コロナ禍により生産能力が急速に減少し、国内の繊維産業が危機に瀕していることに危機感を抱いています。
また、電話やメールのみでのモノづくり、着用試験の不足、セール前提の価格設定、工場の収益低下などにも違和感を感じていました。
〈yato〉のモノづくりは、これらの現代ファッションビジネスの違和感を解消し、300日以上の着用試験を通じて品質と着心地に焦点を当てています。
安価な原料を使用せず、ていねいに作られた高品質な原料のみを採用し、価格を抑える工夫を凝らしています。
通常であれば高級ブランドのような価格のニットが、着る人と工場を直接つなぐことで、日常着として多くの人に手の届く価格になります。
工場には数倍の利益を還元する仕組みを構築し、定番品を展開し、毎年微修正を積み重ねています。
デザインはできるだけ装飾を排除し、10年後も古さを感じさせないよう心がけています。
無個性なデザインが着る人の個性や魅力を引き立て、さまざまな表情を見せる面白さを提案しています。
また、機能性を損なわない範囲で、可能な限り無縫製で編み立てています。
渋谷渉(yatoデザイナー)
新潟県見附市出身。文化服装学院を卒業後、オーストラリアに滞在。帰国後、ニット工場での勤務を経て、国内有数の毛織物メーカーや南米ウルグアイの牧場で働き、あらゆる生産工程で実務経験を積む。その後、新潟県上越市の里山に移住し、2023年1月にニットブランド〈yato〉の活動を本格始動。
南米ウルグアイの羊毛牧場での様子が、渋谷氏のブログにまとめられています。
また、「D&DEPARTMENT」や「ほぼ日」のインタビュー記事でも、渋谷氏のこれまでの活動が紹介されています。
ご興味のある方は、ぜひそちらもご覧ください。
yatoのモノづくり
〈yato〉のモノづくりは、カシミヤセーターの最大の問題である毛玉の解決からはじまりました。
カシミヤセーターは軽くて柔らかく、暖かいが、毛玉ができやすいという課題を抱えています。
そこで、毛玉に強く、着心地の良いセーターを作るため、300日の着用試験を経て製品を開発しました。
この着用試験を通じて、セーターの伸びや毛玉の発生が少ないことを確認し、暖房のない部屋でも暖かく、耐久性が高いセーターが誕生しました。
他の製品にも同様のアプローチを取り入れ、型崩れしないニットパンツ、暖かくチクチクしないスヌード、カシミヤの柔らかさが際立つアームウォーマーを開発しました。
これらの製品は、特定の需要のない原料を活用し、糸や色の用途を最大限に引き出し、廃棄ロスを減らす仕組みを採用しています(調整中のため、ニットパンツの販売時期は未定)
(写真:山根晋)
ブランド名の由来
ブランド名の〈yato〉は、渋谷氏が2022年3月に新潟の古民家に移住し、里山で自給自足のような生活をはじめたことに由来しています。
以前、都会に住んでいた渋谷氏は、休日に神奈川県葉山の田んぼで手伝いをしていました。
そこは「谷戸」と呼ばれる地形にある田んぼで、アーティストの真砂秀朗氏が20年以上にわたり、無肥料・無農薬でお米を育てています。
この場所は、耕作が放棄された田んぼを開墾し、人々が適切に関わることで恵みをもたらしてくれ、三浦半島でもそこにしか見られない生き物たちが集まる特別な場所でもあります。
冬至の日に田んぼを整え、山に感謝し、湧き水を注ぐことから1年のお米づくりを開始し、美しい田んぼでお米を育て、自然と調和したシンプルな生活を学んできました。
日本人的なあり方である「欲を出さず、目に見えないものと調和し、活かす」という価値観に共感し、〈yato〉という名前を採用しました。
葉山の棚田
〈yato〉は、自然と調和した生活スタイルと、高品質な衣類づくりに対する情熱から生まれたプロジェクトであり、日本のモノづくりの伝統と新しい価値観を結びつけ、次世代につなげようとしています。
身体を包み込むような着心地を、皆さまにぜひお試しいただきたいと思います。
INFORMATION
yato POP-UP SHOP at struct会期:11月3日(金・祝)〜5日(日)
時間:12:00〜20:00
場所:struct
住所:大阪市西区京町堀2-3-4 サンヤマトビル1F
※全日デザイナーの渋谷氏が在店