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カート

カートが空です

靴屋の小話#08|資材について

ZUCCO
ブルーオーバーのサンプル職人。型紙から、縫製、製靴までハンドメイドで靴を作り上げる。工場手配、資材段取りも行っている。
@blueover_zucco

 この連載は、私の仕事――つまり、靴をつくるということに関して、できるだけわかりやすくお伝えしたいと思いnoteに書いたもの数回分を、まとめたものです。

<爪先とカカトの芯材のこと>

こんにちは、blueoverチームのzuccoです。

靴を触ってみてください。爪先と、かかと部分が硬ければ、その靴には爪先部に「先芯」、かかと部分に「カウンター」と呼ばれる芯材が入っています。パッと見て分かりにくいのですが、表革と裏革(ライニング)の間に封入されています。

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先芯

先芯を入れることで、木型の形状で固まってくれるので、靴にちゃんと表現され、型崩れを防ぎます。また、足の爪先も保護してくれます。

カウンター

かかと部分を保護し、足の土踏まず(アーチ)を支えてくれます。歩行時の安定性も担っています。靴の型崩れを防いでくれます。

かかとを踏んで歩いたり、靴べら無しで靴を履いていると、カウンターが潰れてしまうことがあります。潰れると元に戻らないのと、靴の中で壊れてしまったカウンターが足に当たって痛くなる場合があるので、注意!

素材

先芯とカウンターに使われる素材はさまざまです。

わたしは個人で靴作りをしていたときは、先芯の場合、シンナーのような溶剤と呼ばれる液につけて柔らかくなるハード芯を使っていました。カウンターの場合、革の漉き床だったり問屋さんで購入したレザーボートと呼ばれるものを使っていました。

水でふやかして自分の作る靴の中に入れれるよう大きさを加工して、白ボンドで貼って使っていました。
※今でもサンプル作成時は使う場合もあります。

今の私たちの生産は「ホットメルト」と呼ばれる方法で靴を作っています。高熱をかけると柔らかくなり、冷えると固まります。熱で柔らかくしているときに、木型に沿って釣り込みをし、木型の形に保形されます。

日本で作られているほとんどの靴がこの「ホットメルト」で作られます。革カウンターよりも破れにくく、靴作りのとき、かかとの高さを決めるバックパートという作業しやすく、効率よくスムーズに釣り込み作業ができます。

ある程度の足数を量産する場合は、ホットメルトがオススメ。抜き型は作成する必要がありますが、資材屋さんに頼んでから割と早く作ってもらえます。

今年になって、先芯とカウンターを新しくしました。つぎはその話を書きたいと思います。

<芯材探しの話>

爪先部分には「先芯」、かかと部分は「カウンター」という芯材が入っていることをお話しました。

最近それぞれの芯材を新しくしたので、今日はそのときのお話。

新しくしたわけ

実は、今春になってblueoverの定番モデルmikeyの芯材は新しくなりました。

いままで10年ブランドを続けてきて、問題も起こっていないのだから、変えなくてもいいのでは?と思われるかもしれません。実際、品質的には変えなくても良かったのです。しかし入手先が廃業してしまったため、新しい業者さんを探すことが必須となったのでした。

工場探し

新しい工場さんを探しました。紹介してもらうために5年以上ご無沙汰していた中敷屋さんにご連絡。

先芯やカウンターをお取り扱いしている神戸の業者さんと長い関係性があるということで、紹介していただきました。

今回の工場探し、材料探しで私が大事にしたことは、現行のmikeyとあまり変わらないこと。なぜなら、10年問題もなく、長くご愛用いただいているお声もいただいていたからです。

先方の材料サンプルを何点か見せてもらいましたが、カウンターは良い感じでしたが、先芯は柔らかい印象で不採用になりました。

次に現行blueoverの中敷を作ってもらっている工場さんに問い合わせました。こちらでも、何点かの材料を拝見させてもらいました。

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試作してみる

先芯とカウンターが何点か集まりました。「これがよさそうだな~」と目星をつけても、いきなり量産は出来ません。先芯とカウンター2点ずつ候補を絞って、実際に靴にしてみます。

出来上がりが良くても、縫製や釣り込みなど各工場さんでの作業に非効率があれば採用できないので、工場さんにもヒアリングしつつ、最終的な出来栄えも見ていきます。

そして、新しく材料を変えるミッションは成功しました。

あとがき

靴作りは見えないところにも、材料が仕込まれていたり、手間がかかっていたりします。今回の先芯とカウンターを新しくすることは、一見簡単なことのようですが、そのための縫製や釣り込みも必要になるので、1ヶ月以上かかるミッションでした。

変わらないために、変化する。

『新しく変わらない。New unchanged.』

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